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和歌山ニュース 井澤弥惣兵衛の功績紹介 「知ろう会」が絵本

井澤弥惣兵衛の功績紹介 「知ろう会」が絵本

公開日 2021.06.28

和歌山県海南市出身で、徳川吉宗に仕え、新田開発に尽力した井澤弥惣兵衛の功績を伝えようと活動する市民グループ「井澤弥惣兵衛さんを知ろう会」が、絵本『弥惣兵衛さんと紀州流~徳川吉宗を〝米将軍〟にした男~』を発行した。同会会長で弥惣兵衛の子孫である井澤佳代さん(80)は「絵本を通して弥惣兵衛さんのことを知ってもらえたら」と話している。

弥惣兵衛は江戸時代に農民から紀州藩の藩士になり、大畑才蔵と共に小田井用水や亀の川の改修、亀池の築造に携わった。この功績が吉宗に認められ、幕府の役人として見沼代用水路(埼玉県)の開削などを担当。紀州流土木工法の始祖として、高い評価を受ける。

同会は2011年に発足。弥惣兵衛が作った水の道やゆかりの地を歩くなど、勉強会を年に4回行っている。発足から10年となった昨年、コロナ禍で活動は中止となった。「活動できない中、何かできないか」と考え、同会の西川静代さんが絵本の製作を提案し取り組むことに。

製作にあたり、原文は西川さんが担当。可能な限りの文献を探し事実を確かめるなど、間違いがないか何度も検討を重ねた。

絵本の内容は紀州編と関東編で構成されており、弥惣兵衛は離れた場所の高さや距離を目視で測ることができたことや、治水工事や利水、新田開発事業に駆け巡ったことなどを盛り込んだ。本筋は弥惣兵衛の生涯と功績だが、「家庭人の弥惣兵衛さん」を少しでも描くことにこだわったといい、49歳で子どもをもうけたことなど、人柄の良さも描いている。

井澤さんは「難しい文献を分かりやすく伝えるのが大変だった」と振り返り、子どもから大人まで、幅広い世代が読める内容を目指し、約1年間かけて完成させた。

「弥惣兵衛さんの名前だけ知っているという人は多いが、この本でどんなことをした人なのか知ってもらうことができる。製作のきっかけをつくってくれた西川さんをはじめ、関わった全ての人に感謝しています」と笑顔で話している。

B5判、44ページ。770円。絵本は宮脇書店ロイネット和歌山店や海南市名高の福岡書店などで販売。問い合わせは編集責任者の山添さん(℡073・482・4186)。