10歳の新米お坊さん 杉浦顕仁さん奮闘

笑顔で手を合わせる釋顕仁さん

和歌山市東紺屋町の真宗大谷派光秀寺にこの夏、小さなお坊さんがデビューした。お盆には、真新しい法衣に身を包み、経本を手に父とお参りに行くなど日々、仏道修行にまい進中だ。

新米のお坊さんは、和歌山大学付属小学校5年生、杉浦顕仁(あきと)さん(10)。普段は友達と遊んだり、ゲームの話をしたりするのが大好きな男の子。8月4日、京都市下京区にある同派本山の東本願寺で得度し、僧籍を得た。法名は釋顕仁(しゃくけんじん)。得度とは髪を剃って僧になることで、顕仁さんも前日に剃り上げた頭をなでながら「早く伸びてほしい」と話す。周りの後押しや寺の手伝いがもっとできればと「迷ったけど、今がちょうど良いタイミングかな」と得度を決めた。

紀州藩の地誌『紀伊続風土記』によると、光秀寺は1572(元亀3)年創建、承応年間(1652~1655)に今の地に移ったという。現在は顕仁さんの祖父・敏雄さん(72)が17代住職を務め、市内を中心に100件程度の檀家を抱える。

同派では、開祖親鸞が9歳で仏門に入ったことにちなみ、同じ年齢から得度を認めている。顕仁さんは、「夏休み中に髪が伸びるはず」と毎月行われる式の中で8月を選んだ。同日、お坊さんを志す全国の男女約115人と一緒に、僧侶となるための儀式(得度式)に参加。頭にカミソリを当てる「剃刀の儀」の後、僧侶が着ける「墨袈裟」と法名を授かり、顕仁さんは「お坊さんになったのだな」と実感したという。

今は週1回、祖父と本堂で一緒に経を読んでいる。「お経はリズムが難しい。読んでいるところがずれることがある」と苦戦中だ。夢はユー・チューバー。寺を継ぐかはまだ分からないが、一つの道としてしっかり考えている。

祖父の敏雄さんは「何事にも動じないのがこの子の良いところ」と話し、「小さい寺なので、孫が得度してくれてホッとしている。60年後までは安泰かな」と笑顔。檀家も皆、喜んでくれているという。

今、顕仁さんが目指す理想像は副住職である父の顕良さん。「あんなふうにはきはきとお経を読めるようになりたい」と目を輝かせ、「まずは、お経をしっかり覚える」と近いうちに訪れる独り立ちに向けて頑張っている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。