パンや麺に玄米の力を 東洋ライス60周年

玄米エッセンスについてのプレゼンテーション

創立60周年事業を発表する雜賀社長

創立60周年事業を発表する雜賀社長

東洋ライス㈱(和歌山市黒田、雜賀慶二社長)は、11月1日に創立60周年を迎えたことを記念し、100億円の基金を設け、玄米の栄養価を他の食品に添加できる「玄米エッセンス(仮称)」を活用した国民の健康への寄与、米の流通に使われる紙袋の再利用可能な素材への転換など、SDGs(持続可能な開発目標)を推進する三つの事業を実施する。

玄米エッセンスは、同社が「金芽米」などの開発、販売で培ってきた技術を生かし、玄米の栄養とうま味の宝庫の部分を抽出して粉状にしたもの。パンや麺類など小麦粉を使用する加工食品の食味を保ったまま、玄米の栄養価を添加することができるという。

同社の実験では、小麦粉の5%を玄米エッセンスに置き換えた食パンで、従来の小麦食パンに比べてγ(ガンマ)―アミノ酪酸やビタミンB1、B6が約2倍となった他、糖尿病や肥満の予防、改善などが期待され、小麦には含まれないγ―オリザノールを加えられることなどが確認された。

同社は、米から生薬機能を除去してしまう精米方法が、日本の医療費増大の原因の一つとの仮説を立て、独自の精米技術により栄養成分を残した「金芽米」「金芽ロウカット玄米」を開発し、医療費削減を目指してきた。しかし、食の多様化により1人当たりの米の消費量は減少の一途をたどっており、米を食べない人も玄米と同様の栄養価が摂取できるようにしようと、玄米エッセンスの開発に至った。今後は、自社で玄米エッセンス入りの食品を開発、製造する他、食品メーカーや外食産業、学校給食、米産地などに提供し、さまざまな活用法や商品の開発に取り組む。需要があれば一般消費者への販売も検討する。

米の流通に使われている紙袋(1袋30㌔)については、再利用可能なフレキシブルコンテナバッグ(フレコン、1袋1020㌔)への転換により、資源の無駄の削減や労働の効率化を図る。

国内の米の年間流通量468万㌧のうち238万㌧(51%)が紙袋で流通し、約7956万枚の紙袋が使い捨てされている。また、精米工場で紙袋を開けて玄米をタンクに投入する「張り込み」作業は、重労働で敬遠される傾向が強い。

同社は、小規模な米生産者にも導入しやすい簡易なフレコン充填(じゅうてん)装置や、紙袋よりも少量の単位でタンクから玄米を出し入れできる「こめびつ方式タンクシステム」を開発し、フレコンの導入を進めることにより、紙袋の使用に伴う包装資材費や人件費など年間計約120億円の削減につながると試算している。

もう一つの記念事業は「米を変えた60年 発明品ご愛用感謝キャンペーン」。2022年2~5月に、同社の技術に関する超難問クイズの正解者、同社発明品の購入者に現金が当たるプレゼント企画を実施する。

和歌山市内のホテルで記者会見を開いた雜賀社長は「わが社の発明品は、ご愛用いただいたことで食文化の向上、健康増進、環境改善に寄与し、60年来、SDGs的な活動をしてきたことになる。60周年記念事業で、さらにSDGsを強力に推進していきたい」と話した。

会場では記念事業の発表に先立ち、同社の発明品を最初に採用し、普及に貢献した事業者などに雜賀社長から感謝状が贈られた。受賞者は次の皆さん。

小西米穀店▽花岡豊(㈲まつや食堂)▽東都生活協同組合(風間与司治理事長)▽大阪いずみ市民生活協同組合(勝山暢夫理事長)▽原田年晴(ラジオ大阪アナウンサー)

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。