和商がグランプリに輝く ぼうさい甲子園

動画配信のために、かまどスツールの使い方を実演する生徒

優れた防災教育を表彰する本年度の「ぼうさい甲子園」のグランプリに、和歌山県立和歌山商業高校(和歌山市砂山南、中村憲司校長)ビジネス創造科、地域情報コース情報系の取り組みが選ばれた。近い将来、高い確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震を想定し、防災・減災に向けて近隣校や地域の住民、団体と協働した活動が高く評価された。表彰式は1月に兵庫県で行われる予定。

同校では2018年度から、商業科目「電子商取引」において同テーマのもと、さまざまな取り組みを続けており、本年度も15人の生徒が、三つのプロジェクト班に分かれて取り組んでいる。学習の成果はインターネットの動画サイトなどで公開し、啓発してきた。

聴覚障害者のための防災グッズ開発プロジェクト班は、昨年度の先輩から同プロジェクトを受け継ぎ、県立和歌山ろう学校(同、山本博之校長)の生徒らのアイデアをもとに、意見を聞きながら市販の筆談ボードに何度も改良を加え、聴覚障害コミュニケーションツール「かけるくん」の試作品を完成させた。

暗い所でも使えるようにライトを付け、指差しで意思表示ができるようボードの裏に12種類の絵を貼るなどの工夫を凝らした試作品のプレゼンテーションをするため、このほど、ろう学校の生徒2人を招き、実際に使ってもらいながら使用感などを聞き取り。ろう学校の2年生、藤原美柚(みゆ)さん(17)の「イラストはもっと内容を増やしてほしい」などの提案も採り入れ、積極的に意見交換をした。

また、防災設備の使い方を啓発するプロジェクト班は、使用法の紹介動画を制作。この日は、昨年3月に誕生した砂山今福防災公園で、ろう学校の生徒らに公園内にある井戸や、テントなどが収納されたベンチなどの防災設備の使い方を解説した。

日本防災植物協会講師に学ぶ防災植物のプロジェクト班は、食べられる植物や採取できる場所などをまとめた。

防災設備の一つである「かまどスツール」を使い、地域で採れた防災植物のよもぎを使ったパスタやみそ汁の試食も実施。同班の田野岡愛奈さん(18)は、「これまで防災植物を知らなかったので、何気なく普段見ていたよもぎやお菓子なども、災害など命に関わるときに役立つことへの驚きが大きかった」と活動を振り返り、「いつ起こるか分からない災害だからこそ、事前準備の大切さを知った。非常食は本当に大切」と話した。

同校の川口敦志教諭は「今後も、学校内では学び切れないものを、外に出て地域の人たちから吸収していければ。生徒たちには、自分たちが持っている力を発揮し、これからの和歌山をつくっていってもらいたい」と話した。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。