県内ロケの映画「ひとつぼっち」 公開中

(右から)波流さん、木下さん、広山さん、美村さん、岡本さん

オール和歌山県内ロケの映画『ひとつぼっち』の公開が、和歌山市松江のジストシネマ和歌山で始まった。このほど行われた舞台あいさつで、主演女優の広山詞葉(ことは)さんは「この物語の核は『愛情』。誰しもふたをしたい過去があり、それをどうやって乗り越えて、生きていこうかと思える映画です」と話した。

同映画は、脚本家の波流(はる)じゅんさんが自身の経験をもとに、原案、企画、脚本を手掛けた、2017年度橋田賞新人脚本賞の最終選考作品。

副島新五さん監督、21年日本セルビア映画祭の入賞作品。プロデューサーの前田和紀さんが和歌山市出身であることから、撮影は同市の浜の宮ビーチの他、海南市の日方川の大橋や㈱サンコーの食堂、下津の介護施設など、全て県内で行われた。

映画は、介護士の波子の前に、幼い頃自分を虐待して捨てた母親が認知症になって現れる。母は全てを忘れており、波子は過去の記憶に苦しめられながらも母の介護をするが、ある言葉が引き金となり波子は母の首に手をかけてしまう。過去の記憶を忘れられない娘と年老いて全てを忘れてしまった母。運命に導かれ切れたはずの糸が再び絡み合う激しくも切ない物語。

波流さんは「感情や心の動きをベースに書いた。作品に生きる希望のメッセージを込めた。この映画を見た後、誰かの心がほんの少しでも温かくなってもらえれば」と話した。

上映後、広山さん、波子の母親役の美村多栄さん、若年期の母親役の木下菜穂子さん、波子の幼少期役の岡本志乃さん、波流さんが登壇。広山さんは「和歌山は私たちにとって特別な場所。『ただいま』という気持ち」と話し、「和歌山の海や空は本当にきれい。和歌山のご飯も本当においしくて毎日3食、ものすごい量を食べた。作品の後半は少し太っています」と撮影中の裏話を笑顔で話した。

同映画のタイトルの由来について来場者が質問すると、波流さんは「一人ぼっちで生きてきた波子が、たった一つだけの記憶を持っていて、その記憶が波子を救う意味で『ひとつぼっち』」とつけた」と答え、「見る人の心によっていろんな意味を生みだす作品。たくさんの人の心に届けたい」と話した。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。