コロナ重症化の遺伝子判明 県立医大が解析

研究成果を発表する橋本教授㊥、山上教授㊨、岩淵助教

和歌山市紀三井寺の県立医科大学は4日、新型コロナウイルスに感染して重症化すると、肺葉内にある遺伝子の一つ「アクアポリン3」を持った細胞が異常増殖したと発表した。別の遺伝子の関与は知られているが、活性を低下、消滅させる阻害剤が既に存在する遺伝子の関与が分かったのは初めて。臨床実験でウイルスを減らす効果が確認されれば、重症化を防ぐ新たな治療法につながることも期待される。医学部の橋本真一教授らによる肺葉の遺伝子解析で分かった。

遺伝子解析は、新型コロナが国内で発生した初期に死亡した県内の患者の遺体から肺葉を取り出して実施された。感染が急拡大した2020年春以降から昨年秋まで、国内では医師の感染防止のため死亡患者の解剖が禁止されていた。同大は禁止前に解剖を終えていたため、他の大学や研究機関に先駆けて一昨年夏から遺伝子解析を進めていた。

発表によると、コロナウイルスにより重症化した肺葉から、アクアポリン3が細胞最深層の基底細胞で異常に増殖していたことを突き止めたという。

アクアポリン3は本来、水の代謝に関連している。基底細胞内には通常多くは存在しない。がんに冒されるとアクアポリン3を持つがん細胞が異常に増殖するため阻害剤が作られていた。また、インフルエンザではアクアポリン3を持つ細胞が増殖する研究結果はみられず、新型コロナ特有の現象だった。研究成果は2月16日に医学雑誌「フロンティアズ・イン・メディスン」に掲載された。

新型コロナの治療法や予防策はワクチン接種などさまざまな医療アプローチが進んでいる。橋本教授は「今回の成果が医療現場で即応用できるかは不明だが、遺伝子解析からも治療アプローチができる点を示したのは大きい」とした上で、「さらにウイルス性の強い新型コロナや別の感染症が発生した場合、今回の経験を基に亡くなった方の組織に対する詳細な遺伝子解析を施すことで、治療法の早期確立が進むのではないか」と話した。

今回の遺伝子解析は橋本教授が所属する分子病態解析研究部の岩淵禎弘助教、外科学第2講座の山上裕機教授の2人も参加して実施された。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。