障害者と地域つなぐ 鈴木さんカフェ開店へ

改装が進む店舗前で笑顔の鈴木さん

和歌山市の鈴木寿美(かずみ)さん(53)が、年齢や障害の有無に関係なく、誰もが自然と集えるカフェを紀の川市貴志川町にオープンさせようと準備を進めている。障害のある娘の母でもある鈴木さんは「みんなの心のよりどころや、『居場所』になるカフェを作りたい」と笑顔で話している。

5人の子どもの母親でもある鈴木さんが、居場所づくりを目的にカフェをオープンすることになったきっかけは、末っ子でダウン症の娘(20)の存在。「私のやることは基本娘が中心」と優しい母の顔で話す。共にフラダンスを楽しみ、8年前には子どもたちの交流の場「てぃ~だちゃいるど」を設立。娘が支援学校を卒業した2020年には、海南市別所の山間で週末限定のカフェをスタートした。

人と接することで笑顔を見せ、成長していく娘の姿に「親は先に死ぬ」という現実を受け止めながら「娘が楽しく生きていけるすべを残したい。理解してくれる人を増やしたい」と感じるようになった。地域との結び付きが希薄になる中、高齢者や子育て中の親、障害のある人らが安心して暮らせるよう、人と人とをつなぐ地域コミュニティーカフェを立ち上げる決意をした。

1年かけて探した新しい店舗は自然豊かな平池緑地公園に程近く、さまざまな年齢層が生活をする静かな住宅地に位置。すぐ裏には、和歌山電鐵貴志川線の線路が敷かれ「車椅子や普段電車に乗るのが難しい人にもここに来て楽しんでほしい」という鈴木さんの思いも、場所選びの決め手となった。

新店舗の開店は来月下旬を予定。建物は1階平屋で、バリアフリーに改装した。漆喰(しっくい)の壁と木のフローリングが来た人を温かく迎える。室内は「家のようにくつろいで」との思いから土足禁止。椅子や机を移動すればフリースペースになり、誰もが参加できるイベントなども開く予定だという。カフェのメニューは体に良いとされるスパイス料理やスイーツなど。食器は福祉作業所で製作したコップや皿を中心に使用する。店名「Kupono(クーポノ)」はハワイ語で「ありのまま、自然な」を意味し、ここに鈴木さんの思いが凝縮されている。

店舗の一角には、福祉作業所や支援学校の製品を販売するスペースも設ける。鈴木さんは「外国と違い、日本の場合は作業所の製品が『福祉』という枠組みの中から抜け切れていないのが現実。自立や次のステップにつなげることが難しい」と話し、製品のプロデュースや改良など、ここでつながった人たちと将来的な活動を考えていければと願っている。

多くの人に知ってもらうきっかけにと、4月10日まで店舗改装費を支援してもらうクラウドファンディングにも初挑戦。「人は1人では生きられない。互いを尊重し合うことが、自然にできる場所になれば」と話し、これからおいしい食事と温かな空間でたくさんの人をつないでいくことを誓う。鈴木さんのクラウドファンディンの詳細は専用サイト(https://camp-fire.jp/projects/view/551898)で。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。