介護業界で県内初 特定技能外国人受け入れ

施設から贈られた花を手に笑顔の女性たち(キャリーアップ提供)

外国人介護職員の紹介やサポートを行う㈱キャリーアップ(本社=和歌山市園部)がこのほど、人手不足に悩む県内の介護施設と、日本での就労を希望するフィリピン人との架け橋となり、「特定技能」労働者の受け入れを実現させた。同社によると、介護業界で県内への「特定技能」受け入れは初という。すでに介護現場での重要な担い手となりながら、日本語や介護福祉士の試験勉強にも努めている。

今回来日したのは20~50代の女性10人。かつらぎ町と高野町の2施設に分かれ、入居者の食事や排せつ介助などを担当している。

同社は2007年、高齢化や人口減少に伴う介護業界の慢性的な人手不足問題を解消しようと、「外国人との共生」をスローガンに掲げて開業。鍬田優一代表取締役は「フィリピンには日本と同じように介護の専門学校があり、介護の文化が根付いている」といい「当初は在日フィリピン人を対象に介護士派遣や紹介事業をスタートさせた」と振り返る。

これまでに500人以上の在日フィリピン人に仕事を紹介、派遣してきたが、年々希望者が減少してきたことから16年、マニラに日本語学校を設立。対象を現地のフィリピン人に拡大した。

19年4月には、国が一定の専門性・技術を有し即戦力となる外国人人材を労働者として受け入れる新たな在留資格「特定技能」を創設。試験に合格して同資格を有すると、最大5年間日本国内での就労が可能になる他、勤務時間の制約がないなどの特長がある。

和歌山労働局のまとめによると、県内の外国人労働者(2020年10月末時点)は3115人。在留資格別では「技能実習」の労働者が1418人、「専門的・技術的分野の在留資格」が612人、「特定技能」は13人。

同社は、特定技能ビザで介護士の入国が認められるのに伴い、現地に送り出し機関を設立し、より多くのフィリピン人に日本語を教え、特定技能介護の試験合格者を確保してきた。

合格者への入国手続きが進む中、新型コロナウイルス感染拡大の影響で入国が約1年半延期されていたが、このほど規制が緩和され、ようやく県内で初めて特定技能労働者の受け入れが実現した。

今回受け入れた社会福祉法人聖愛会特別養護老人ホーム南山苑(高野町)では数年前から新入職員がゼロという厳しい状況が続いていたといい、石田千香子施設長は「すごく助かっている」と特定技能介護士らに感謝。「受け入れ前は何が問題かもイメージしづらかったが、彼女たちの明るさで施設内の雰囲気も明るくなった」と喜ぶ。

もう一つの受け入れ先である社会福祉法人紀和福祉会介護老人福祉施設やまぼうし(かつらぎ町)の渡部綾子施設長も「誠実で真面目。相手との距離感が大事な仕事なので、細やかな気遣いがありがたい」と高く評価。「日本語でのコミュニケーションの壁はあるが、単語帳などで一生懸命勉強してくれているし、部屋もきれいに使ってくれている」といい、「最初は入居者も異国の人という感じで驚いていたが、今ではすごく喜んでくれている」と話す。

鍬田代表取締役は「フィリピン人は家族やお年寄りを大切にする文化があり、雄弁で明るい」とし「介護士不足を少しでも助けられればと思い、長年やってきたことが間違いではなかった」と笑顔で話す。

一方で、特定技能制度の周知不足や外国人雇用の仕組み整備も大きな課題だという。鍬田代表取締役は「夢を持って日本へやって来たフィリピン人たちとうまく共生するには、受け入れ施設の方々の協力が不可欠」と話し「今後もし問題が出てきた時にはしっかりとサポートしていくので、長く架け橋として続けていければ」と願っている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。