肝いり政策に「ノー」 IR否決に知事「痛恨」

無記名投票で行われた採決の集計作業(20日)

県議の投票中、うつむいて目を閉じる仁坂知事(20日)

県議の投票中、うつむいて目を閉じる仁坂知事(20日)

「痛恨の極み」「次の成長因子を失った」「期待していた人の方が圧倒的に多数」――。カジノを含む統合型リゾート(IR)計画の国への申請が和歌山県議会で否決された20日、報道陣の取材に応じた仁坂吉伸知事は、無念の思いを何度も口にした。以前はIR推進でまとまっていたはずの最大会派・自民党と県側の関係は、区域整備計画の審議が進む中で次第に悪化し、「ノー」を突きつけられる結末となった。

仁坂知事は県議会閉会後、賛成18、反対22の僅差での否決について、「そういうもの(カジノ)にそもそも反対という政党の方は別にして、ほとんどの人が賛成してくれるはずの案件で、接戦であるということもおかしいし、否決されることもやはりおかしい」と述べた。「おかしいというのは、判断が間違っているということではない」と続け、反対した県議への直接の批判は避けたが、不満をにじませた。

累計約30時間に及んだIR対策特別委員会の質疑で、最後まで県議会との溝が埋まらなかったのが、IR事業者「クレアベストニームベンチャーズ(CNV)」の資金計画について。CNVが提示したのは出融資の確約書(コミットメントレター)ではなく、金融機関が資金調達への自信を示すハイリーコンフィデントレター(HCL)にとどまり、大阪IRの資金計画などとの比較で、県議らが指摘した確実性への疑念を払拭(ふっしょく)できなかった。

この点についても仁坂知事は「冷静に比較すれば、(和歌山と大阪は)似たようなものだと思っていただけたはずだと思う」と話し、資金計画に不備があるとした県議会側の認識とは隔たっていた。

IR事業の確実性や透明性への疑義が否決の最大のポイントとなったが、任期満了を12月に控えている次期知事選を巡る思惑も背景にあったとみている県議も複数いる。

県政与党として仁坂知事を支えてきた自民党は、今回の採決では二つに割れた。無記名投票のため賛否を明らかにしていない県議もいるが、森礼子議長を除く26人のうち15人程度が反対したとみられている。

仁坂知事は次期知事選への態度を明らかにしておらず、現職知事に態度を問う一般質問を行うのを慣例としてきた自民党も、現時点で質問をしていない。

報道陣から、肝いり政策を否決されたことに対する責任を問われた仁坂知事は「IRプロジェクトの遂行は私が全責任を持ってやると言ってきたが、責任の取りようがなくなってしまった」と答えた上で、「(県のトップとして)和歌山県の力を高め、弱くなるのを防いでいかなければいけない。(IR以外の)他の手段で必死にやっていく責任はある」とした。

次期知事選への出馬の可否を改めて問われた仁坂知事は、「そんなことは言えない。6月前に県議会で聞いてくれるといいんだけどなということ」と述べた。

今回のIR計画の否決は、今後の県政にどのような影響を及ぼすのか。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。