有吉佐和子記念館開館へ 和歌山市駅近くに

オープン間近の有吉佐和子記念館

有吉佐和子(和歌山市提供)

有吉佐和子(和歌山市提供)

『紀ノ川』『華岡青洲の妻』などの作品で知られる和歌山市出身の小説家・有吉佐和子(1931~84)の邸宅を市が移築、復元した「有吉佐和子記念館」が5日、南海和歌山市駅近く(伝法橋南ノ丁)にオープンする。作品に関する貴重な資料を展示し、有吉が仕事をした書斎などが再現されており、文化に親しむ新たな拠点施設として期待されている。

有吉は同市真砂丁(現吹上1丁目)に生まれ、父の転勤に伴い、インドネシアに移住。1945年、和歌山に疎開し、県立和歌山高等女学校に通う。東京女子短期大学部英語科在学中に雑誌「演劇界」の「懸賞俳優論」に入選し、56年に『地唄』が芥川賞候補となって文壇に登場すると、翌57年には『白い扇』が直木賞候補となった。

『紀ノ川』を執筆後、演劇を学ぶためにニューヨークに留学。以後、海外各地を回りながら、紀州を舞台にした『助左衛門四代記』『有田川』『日高川』『華岡青洲の妻』を刊行。『恍惚の人』『複合汚染』など社会問題に切り込んだ作品も多く、大きな反響を呼んだ。84年、都内の自宅で急性心不全のため53歳の若さで急逝した。

昨年は生誕90年の節目を迎え、日本ペンクラブ企画の顕彰イベントが開かれた他、アメリカの人種差別問題を描いた『非色』が再注目されるなど、没後40年近くを経て、評価は高まっている。

記念館は、有吉が61~79年に暮らした東京都杉並区の邸宅を復元したもので、木造2階建て、延べ床面積185・51平方㍍。敷地には駐車場9台(障害者等用1台を含む)を設ける。総事業費約1億3000万円をかけて整備した。

2階には、有吉が実際に使用した机や椅子などを置き、書斎と茶室を再現。1階には『紀ノ川』の原稿などの資料を展示する。カフェスペースも設けられ、お茶やランチを楽しむこともできる。

近隣の市民図書館2階には「有吉佐和子文庫」が設置されており、両施設を訪ねる文学ファンが増えることも期待されている。

5日は、午前11時から開館式典が行われ、正午から一般公開が始まる。11日には開館記念イベントとして、午前10時と午後1時半からの2回、朗読劇や端唄演奏、地唄舞などが行われる。今後は有吉作品の魅力を語り合う「ブックトーク」なども企画されている。入館無料。水曜休館。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。