ブータン刺繍を広めたい 橋本さんが講座

ブータンの民族衣装で刺繍を手に橋本さん 

ブータンの伝統工芸の一つである「ブータン刺繍」と同国の文化を広めようと、和歌山県紀の川市のブータン刺繍作家、橋本智美(さとみ)さん(39)が9月から、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛8階の県国際交流センターで月2回、全12回の講座を開く。橋本さんは「針を持ったことがない初心者の方やブータンを知らない方も大歓迎なので、興味のある方はぜひ気軽に来てください」と笑顔で受講生を募っている。

橋本さんは兵庫県出身。阪神淡路大震災を機に家族で和歌山県に移住し、中高を県内で過ごした。東京外国語大学へ進学し、ラオス語を専攻。講義で内陸国について学んだ際、初めて耳にした「ブータン」という国名に興味を持ち、調べ始めたのが同国との出合いだった。

「ブータンに行ってみたい」との思いが強くなる一方、東京で就職した後は仕事が忙しくてなかなか休みが取れず、4年ほど経過した2010年、ついに念願かなって同国へ。山に囲まれ、ゆったりとした時間が流れる同国を訪れ、「思っていた通りのいい国で、より好きになった」と振り返る。

帰国後もブータンと関わり続けられることを探し、見つけたのが都内で開かれていたブータン刺繍の教室だった。カラフルな絹糸を使い、仏やゾウといった仏教に関するものを、刺繍枠を使わず布を手で張るように持ち、針を縦に持つ特徴的な方法で仕上げていくブータン刺繍の淡々とした作業に心が落ち着き、癒やされた。

12年には、教室の講師や仲間と共に2度目のブータンへ。帰国後、さらに刺繍に没頭するようになり、「現地で学びたい」という思いが強まった。翌年には仕事を辞め、ブータン国立伝統工芸学校の刺繍・仕立て科に留学。3年半の留学期間中は週6日、毎日6時間ほど現地のゾンカ語で授業を受け、刺繍の技術だけでなく言語や文化への学びも深めた。

帰国後は、国内やブータンでの展示会に出品したり、ワークショップを開いたりしながら、「日本でブータン刺繍や文化を広めたい」という願いを少しずつ実現。今回新たに開講する講座「ブータン刺繍入門と文化紹介」では、運針練習から簡単な作品の制作までをゆっくりと進めていく他、自身の経験を通して同国を知ってもらおうと文化紹介も行う。

同国の刺繍は仏教美術で、祈りにつながるとされ、刺繍をすることで「徳を積む」ともいわれている。橋本さんは留学時にこのことを知り、「だからこんなにも心が落ち着き、癒やされるのかと納得した」と笑顔。「日本の人にもブータン刺繍でストレスや疲れを癒やしてもらいたい」と話している。

講座は9月4日スタート。参加費6000円(全12回分)。定員6人。糸切りばさみ、裁ちばさみがあれば持参すること。

申し込みや問い合わせは橋本さんにメール(satomih3@gmail.com)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。