創業など学ぶ 紀美野に「地域づくり学校」
農山村地域での創業を目指す人や、地域への理解を深めたい学生らが学び合う「きみの地域づくり学校」が13日、和歌山県紀美野町に開校した。町や和歌山大学、町内の高校、商工業、観光業などの関係機関でつくる協議会が運営する。12月まで全15回の講義や現場でのインターンシップを開催。大学教員や地域内外の先輩事業者らから、農村での起業や継承について、座学や実践で学ぶ。
農山村では過疎化や少子高齢化が急速に進む一方、「田園回帰」と呼ばれる若い世代の移住も増えている。若者が農山村で生活するには、仕事があること、気に入った家があることが必要だという観点から、産学官が連携し、農山村での起業など「なりわい創り」の応援や若者が同町で暮らすことを考えるきっかけづくりを目的としている。
同町は2016年に和歌山大学と地域連携推進の包括協定を結び、これまで地域振興に向けた事業を行い、その一環で同大学食農総合研究教育センターとの共同研究により開校することになった。
社会人や地域おこし協力隊、大学生ら多世代が集い、大学の有識者や地元事業者などから農村の価値を学ぶ全15講座の「座学編」と、実践者をメンター(助言者)に現場でインターンシップ(6~9回)を行う「実践編」を予定している。
開校式は同町菅沢の美里の湯かじか荘で行われ、県内外の大学生や移住検討者ら52人が参加した。小川裕康町長は「皆さんは強い思いを持ち、それを実現するために入学された。講義と実践は必ず期待に応えてくれる。これからの出会いやつながりは大きな財産となる。ぜひ頑張ってください」とあいさつ。
運営協議会の会長で、自身も大阪からの移住者という、りら創造芸術高等学校(同町真国宮)の山上範子校長は「私はこの町に自然の中で子どもたちを育てたいという希望を持って来た。何かを始めるなら根性を持ってほしい。苦しいときは試されているとき、どう生きるかを考えて楽しんでもらえたら」とエールを送った。
第1回目は「都市農村交流とコミュニティビジネス」をテーマに2日間の日程で実施。初日は2講義と夕食交流会、二日目に1講義が行われた。
同校校長で講師を務めた、追手門学院大学、和歌山大学名誉教授の藤田武弘さんは「都市農村交流と関係人口」について講演。都市と農村の関係が戦後から現在に至るまでにどのように変化してきたか、国や自治体の政策がどう変わったかなどを話した。次に農業法人㈱秋津野の木村則夫社長が「地域づくりとコミュニティビジネス」について紹介した。
2日目は同町で民泊を運営する、風の古民家「うえみなみ」の南出典子代表が、古民家宿の運営について講義。和歌山市から参加した20代男性は「地域活性には地域の人とのつながりや関係づくりが大切なのだと分かった。この学校で、栽培から加工まで自ら行う6次産業のことをもっと詳しく学びたい」と話した。