HOME グルメ 和歌山ラーメン誕生物語 ~第8話~「東京で話題の和歌山ラーメンの店に行く」

いまや全国的な知名度を持つ「和歌山ラーメン」。そのブームが生み出された経緯を知る筆者(S.Sat.SD)が、後世に伝えるべく、ロカルわかやまに書き綴る第8話。

第7話までのあらすじ

1998年(平成10年)、和歌山の中華そば店が日本一とテレビ番組で紹介され、全国から注目を浴びた。同年10月には新横浜ラーメン博物館で和歌山ラーメンの特別展が開催、ブームはピークに。筆者は現地に足を運び、その熱狂ぶりを目撃した。

あの事件が同じ年に発生していた

和歌山ラーメンブームの起点となった1998年。この夏、和歌山市でカレー毒物混入事件が発生していた。

私「同じ日に私の長男が通っていた小学校でも夏祭りが行われていて、その日の夜のニュースを見てゾッとした記憶がある」

事件現場や、捜査の管轄になっていた和歌山東署には多くのマスコミが詰めかけ、連日連夜、ニュースやワイドショーで捜査状況などをリポート。

私「東署前には各マスコミが手配したのか、車線をふさぐようにタクシーが並んでいた」

H「それって違法駐車では? 警察署の前なのに」

私「確かに。でもあのタクシーの数はハンパやなかったわ。あれだけ並んでいたら取り締まることもできなかったのでは…いやいや、私個人の推察」

H「タクシーの行列の話と和歌山ラーメンブームと、何か関係があったのですか?」

私「何軒かの中華そば店の店主から聞いたのだが、タクシーで店に乗り付け、『これが早寿司なの?』『スープは思ったよりあっさりだね』と標準語で話すお客さんが増えたらしい。東京から派遣される記者やリポーターは、まず和歌山の有名店に寄るようになったとか、ならなかったとか」

【編集部注釈】カレー事件と和歌山ラーメンブームを関連付けるのは不適切だとは承知していますが、1998年の和歌山を語るにあたり、見逃すことはできない事象なので触れました

東京で和歌山ラーメンブームを牽引した
「まっち棒」と「のりや」

1998年10月1日お昼すぎ、新横浜ラーメン博物館を後にし、私は当時東京にあった「まっち棒」というラーメン店の取材に向かった。

H「で、井出商店の新横浜ラーメン博物館店の味はどうだったのですか? ご主人は『和歌山と同じ味が出てるよ』と言っていたんでしたっけ(第7話参照)」

私「それがやね、井出商店の長蛇の列を見て並ぶことを諦め、博物館内の『六角家』というお店に入った。夕方に『まっち棒』の取材アポもあったし。実はこの『六角家』が、私と横浜家系ラーメンの出会いでな…この話を膨らまそうか?」

H「長くなりそうなので、それはいいです」

私「新横浜駅から何やかんや電車を乗り換えて小田急の豪徳寺駅へ。そして駅から徒歩5分ほどで、『まっち棒豪徳寺店』(今はありません)に到着。乗り換えNAVITIMEもGoogleマップもない時代に、よく迷わず行けたもんだ。自分を褒めてやりたい」

H「膨らますのは、そこ?」

まっち棒の中華そば(当時650円)

さて、当時の「まっち棒」取材ノートを見返すと…
●経営者は和歌山市出身
●役者を志して上京するも、仕事は裏方続き
●一念発起、和歌山に戻って、知り合いになったラーメン店からレシピを学ぶ
●1995年、世田谷区池尻大橋に「紀州和歌山ラーメン まっち棒」をオープン
●店名は、東京で和歌山ラーメンのブームに火を付けたいとの理由から

H「あれ?和歌山ラーメンという名称が出てきましたよ」

私「そうやね。『まっち棒』は都内のマスコミに取り上げられるようになり、“和歌山ラーメンの店”として関東での認知度が高まったそうだ。となれば、和歌山ラーメンの名前が出始めたのは、1998年より前だったのか」

H「このコラムに『和歌山ラーメン誕生物語』のタイトルを付けるなら、1995年から物語を始めるべきでしたね」

私「あまり膨らますとスペースが無くなるので…(苦笑)」

1998年10月1日撮影

翌日は大井競馬場、じゃなかった、品川区大井町に店を構える『のりや』に向かった。当時、和歌山の味を出す貴重な店として評判になっていたからだ。

のりやの中華そば(当時600円)

これまた、当時の取材ノートをめくってみると…
●店主は和歌山とは縁もゆかりも無い
●『まっち棒』の中華そばを食べて感動した
●脱サラをしてラーメン店『のりや』を開業
●和歌山ラーメンの味を目指しているが、「僕なんかまだまだ」と謙遜

1998年10月2日撮影

私「店主は腰が低くて、とても謙虚な人だった記憶がある。あれから30年近く経過するけど、食べログを見ると『のりや食堂』として今も人気店」

H「『まっち棒』は現在?」

私「神奈川県川崎市で『まっち棒溝の口店』が営業中」

H「機会があれば行ってみたいですね」

私「いや、神奈川に行ったら、本場の家系ラーメンに足が向くかもよ」

※「和歌山中華そばとラーメン。」(発行/アガサス)掲載の写真を使用しています

第9話につづく(2026年2月下旬公開予定)

【和歌山の一杯】
和歌山ラーメン まるイ

1998年(平成10年)の「和歌山ラーメンブーム」時に営業していたお店を、2026年(令和8年)に訪れて食べたレポート。

ラーメン(950円)※2026年1月9日実食

器を覆い尽くすネギの量(写真は通常)。全国的に有名店となった今では見慣れたビジュアルだが、平成初期のころは珍しかった。このビジュアルが注目されつつも現在に至るまで行列の絶えない店になっているのは、やはり味!

良質な豚骨だけが贅沢に使われて生み出された、まろやかなコクのスープ。そこへシャキシャキとしたネギのほろ苦さが相まって、唯一無二の一杯に。おっと、このスープに相思相愛の自家製麺のおいしさも忘れてはいけない。

名称 和歌山ラーメン まるイ 中之島店(アロチ)
所在地 和歌山県和歌山市中之島2323 地図
電話番号 073-427-2662
営業時間 18:00~深夜1:00
定休日 日曜
web http://ramen-marui.com/
名称 和歌山ラーメン まるイ 十二番丁店
所在地 和歌山県和歌山市十二番丁87 地図
電話番号 073-425-6678
営業時間 11:00~21:00(日曜は17:00まで)
定休日 無休
駐車場 あり
Instagram @ramen_marui