
【和歌山市】紀州徳川の世界的な音楽遺産「南葵音楽文庫100年」見て・読んで・聴いて楽しむ♪
イチオシの記事
「南葵音楽文庫」をご存じでしょうか。紀州徳川家16代当主・徳川頼貞(よりさだ)が集めた音楽資料のコレクションですが、その前身となった「南葵音楽図書館」が開館して100年を迎えました。南葵音楽文庫の魅力を広めようと2025年に普及会が発足し、県内外で活動しています。2026年2月にもイベントを企画。和歌山に残る世界的な文化遺産について知り、音楽で楽しんでみませんか。
目次
紀州の殿様・頼貞が集めた貴重な音楽資料群
紀州徳川家16代当主・徳川頼貞(よりさだ)が集めた音楽資料のコレクション「南葵音楽文庫」。その前身である「南葵音楽図書館」が東京都の徳川邸内に開設され、2025年で100年を迎えました。

©慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究センター
所有:読売日本交響楽団 所蔵:和歌山県立博物館
南葵音楽文庫は、頼貞自らが収集した西洋音楽の資料を一般に公開していたもので、頼貞没後に追加されたものを含め、その数は2万点余りにものぼります。
音楽事典や音楽雑誌、楽譜などの音楽関連のほか、語学辞書や百科事典もそろえ、中には作曲家の自筆楽譜も。
当時は手に入れるのが難しかった全集楽譜が充実していて、バッハやヘンデル、モーツァルトなどの名だたる作曲家のものが並びます。

南葵音楽文庫は、頼貞が莫大な私財を投じた私的収集といわれてきましたが、調査研究が進むと、これらは公共財として活用されていたことが分かってきました
現在は「読売日本交響楽団」が南葵音楽文庫を所有し、2016年に和歌山県に寄託。和歌山県立図書館(和歌山市西高松)で保管し、一部を一般公開しています(県立博物館保管資料もあり)。
和歌山県立図書館の南葵音楽文庫閲覧室で公開

こちらは、 和歌山県立図書館にある「南葵音楽文庫閲覧室」の入り口。
県立図書館1階閲覧室の「調査相談カウンター」の奥にあります。
室内では約2000点の資料が展示・公開されています。

学習院在学中の論稿

南葵音楽文庫がかつて所蔵したカミングス文庫の筆写楽譜(自筆楽譜は1860年に焼失)による校訂楽譜
貴重な資料はガラス書棚に収められ(時期により展示内容は入れ替え)、楽譜や音楽辞典、音楽雑誌、一般には流通しない専門誌や欧米演奏会のプログラム冊子など、頼貞が収集したさまざまな資料や書籍を室内で実際に手に取って閲覧することができます。ベートーベン、シューベルト、モーツァルトなど著名作曲家の全集楽譜、またミニチュアスコアやオペラの楽譜も豊富。重厚に装丁され、中には頼貞のサインやメモ書きが残るものもあります(申請をすれば撮影可能)。

書棚に並ぶ楽譜や音楽事典、当時の音楽雑誌などを開き、見ることができます
●南葵音楽文庫閲覧室●
和歌山県立図書館1階閲覧室内(和歌山市西高松1-7-38)
【利用方法】調査相談カウンターで申し込み
【利用時間】火~金曜午前9時~午後7時(土・日曜、祝日は6時まで)
【休館日】月曜(祝日は開館、翌平日休館)、ほか館内整理日など
【問い合わせ】
☎073(436)9520 県立図書館サービス課
実際に手に取って見てほしい

南葵音楽文庫について調査研究する美山良夫さん(慶應義塾大学名誉教授)は、「このコレクションが本格的に公開されるようになったのは、ここ和歌山が初めてのことです。非常に貴重なものが多くあり、日本の音楽のために尽くそうとした頼貞さんの熱意や思いも感じられます。ぜひ実際に手にとって見てほしい」と話します。
和歌山から発信! すごいぞ“南葵”

こうした南葵音楽文庫の魅力をもっと多くの人たちに知ってもらいたいと、2025年4月「南葵音楽文庫普及会」が発足(会長=ピアニスト・宮下直子・写真左)。美山良夫さんを学術雇問相談役に、和歌山市出身で前東京藝術大学長の澤和樹さん(バイオリニスト)を名誉顧問相談役に迎え、ソプラノ歌手・瑞樹比美香さん(写真右)などメンバーは6人。
今年度を“南葵100年”のスペシャルイヤーとして、和歌山ゆかりの演奏家たちとこれまで県内外、奈良市や神戸市、岸和田市などにも出向いて、10カ所で「まちなかコンサート」を行ってきました。
10月には、頼貞が輸入したパイプオルガンが今でも残っている旧東京音楽学校奏楽堂で「南葵音楽図書館100年コンサート」を開催しました。
どの会場でも、南葵音楽文庫に関わりある音楽を演奏し、その場でエピソードも紹介しながら、音楽で南葵音楽文庫の価値や魅力を伝えてきました。
100年記念の集大成として
和歌山市の西コミセンでイベント
「まちなかコンサート」は、道行く人が誰でも足を止めて見たり聴いたりできるようにオープンスペースを会場にして、入場を無料に。自由に行き来する人たちの前で演奏し、その曲や演奏家、そして南葵音楽文庫ににまつわるストーリーを南葵音楽文庫サポーターが語ってきました。
普及会立ち上げ初年度の集大成となる「まちなかニューイヤーコンサート」が、2月7日(土)に、和歌山市西コミュニティセンターで開催。
普及会の会長の宮下さんは、「所蔵資料や楽譜をひも解くと、例えばプッチーニやプロコフィエフなど、頼貞さんが出会った多くの作曲家たちを身近に感じ、その人たちの魂が今に伝わってくるようです。そんな思いを音楽で表現したい」と話します。
同じく普及会メンバーでソプラノ歌手の瑞樹比美香さんは「一つ一つ丁寧に装丁された楽譜には蔵書印があり、中には頼貞さんのサインやメモ書きが残るものも。偉大な作曲家たちに会うことはできませんが、同じ時代を生きた頼貞さんが、今の私たちに一つ一つの曲の素晴らしさを語りかけているようです」と。

二人は音楽で同文庫について伝え広めたいと話しています。
2月7日(土)開催!
南葵100年記念「まちなかニューイヤーコンサート」
音楽で南葵音楽文の魅力や価値を伝える2月の「まちなかコンサート」は、演奏のほか展示やおはなしカフェなども盛り込み、会場全体が“南葵”で彩られます。
「西コミセンで新年を祝おう!
南葵100年記念 まちなかニューイヤーコンサート」
【開催日時】2月7日(土)12:00〜17:00
【会場】和歌山市西コミュニティセンター(和歌山市砂山南3-1-11)
1階オープンスペース
【入場料】 無料
【定員】200人
※当初客席は100席の予定でしたが200席に拡大!
当日は近隣の砂山小学校グラウンドに臨時駐車場が設けられます
【プログラム】
1部(13:00から)
◆ネイラー:序曲「徳川頼貞」ほかブラスバンドステージ

【出演】和歌山県立向陽中・高等学校吹奏楽部(今西秀彰指揮)
作曲家のネイラーは、頼貞が英国のケンブリッジ大学留学中に指導を受けた人物。帰国後も交流が続き、頼貞による「南葵楽堂」の開設を記念して作曲されたのが序曲「徳川頼貞」です
2部(14:00から)
◆グノー:アベ・マリア
◆プッチーニ:ある晴れた日に
◆本居長世:赤い靴
◆南葵関連歌 頼貞版
◆祝南葵開庫歌 冷水版
◆サン=サーンス:動物の謝肉祭より「白鳥」
◆エルガー:愛の挨拶
◆クライスラー:ベートーベンの主題によるロンディーノ ほか
【出演】

瑞樹比美香(ソプラノ)

澤亜樹(バイオリン)

Nazuki’(サックス)

小寺香奈(ユーフォニアム)

宮下直子(ピアノ)
演奏する曲や作曲家についてなど、南葵音楽文庫にちなんだ“お話”も盛り込まれます(話し手は、南葵音楽文庫サポーターのまつだきくこさん)。こうしたお話を聞くと、音楽の良さとともに南葵音楽文庫について知ることができて、ますます、和歌山に残る音楽遺産を誇りに思いますね♪
パネル展や南葵研究員カフェも同時開催!
キッチンカーも来るよ
さらに、和歌山市西コミュニティセンター2階では、パネル展なども同時開催!

●パネル展(2階)
「南葵音楽文庫パネル展」
「紀州徳川の菩提寺・長保寺展」
「ヴォーリズ南葵音楽堂設計図展」
「頼貞の父・15代当主頼倫(よりみち)展」
“南葵音楽文庫”とは、“頼貞”とは…、さらにその父“頼倫”にも触れる展示がたくさん! 「南葵音楽文庫」が誕生した歴史に触れられる展示になっています
●南葵100年東京コンサート映像(2階)
昨年10月旧東京音楽学校奏楽堂で行われた「南葵音楽図書館開館100年コンサート」の様子が映像で流されます。この音楽堂にあるパイプオルガンは、南葵楽堂から移設されたものなんですよ!
●南葵研究員カフェ(1階カフェ)
南葵音楽文庫について調査研究を進めている美山良夫さんが、同コミセン1階にあるカフェに常駐しています。お茶を飲みながら“南葵音楽文庫談義”ができます。気軽にいろいろなことを尋ねてみてくださいね。 ※ドリンクは有料)
●スタンプラリー
コンサートやパネル展など盛りだくさんのイベントを巡る当日限定のスタンプラリーも行われます。指定の5箇所を巡ってスタンプを集めた人には特典が用意されています。どんな特典か…それは当日のお楽しみ。

●キッチンカー出店
屋外にはキッチンカーの出店もあります! この日は“南葵”のお祭り!楽しんじゃましょう!!
まちなかニューイヤーコンサートについては
【問い合わせ】
☎ 073(457)1011南葵音楽文庫普及会事務局
(ルル・ミュージック内)
※南葵音楽文庫普及会は公式ラインで情報を発信中。友達追加してみてね
和歌山県立図書館主催のコンサートも
2月21日(土)に開催
和歌山県立図書館2階の「メディア・アート・ホール」でも、南葵音楽図書館100年を記念したコンサートが開催されます。
県立図書館主催
Mah!ライブラリー室内楽定期演奏会 vol.45
南葵音楽文庫コンサート vol.4
サン=サーンス 「ミューズと詩人」
【日時】2月21日(土)14:00から(開場13:30)
【会場】和歌山県立図書館メディア・アート・ホール
(和歌山市西高松1-7-38)
【入場料】一般3000円、学生2000円 ※全席自由
【出演】

澤和樹(バイオリン)
和歌山市出身で第10代東京藝術大学長。和歌山県立図書館の音楽監督でもあり、「南葵音楽文庫普及会」の名誉顧問相談役も務めます。

林裕(チェロ)
東京藝術大学卒業。日本音楽コンクール第1位、黒柳賞を受賞。南葵音楽文庫をはじめ、世界で埋もれているチェリスト作品の発掘を重ねています。

宮下直子(ピアノ)
東京藝術大学卒業。相愛高校・大学・大学院講師。南葵音楽文庫サポーターとして和歌山の魅力を発信。南葵音楽文庫普及会・会長。
【司会】近藤秀樹(南葵音楽文庫研究員)
【プログラム】
◆ベートーベン:ピアノ三重奏曲 No.7 変ロ長調 Op.97「大公」より
◆メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 No.1 ニ短調 Op.49 より
◆サン=サーンス:「ミューズと詩人」 Op.132(ピアノ三重奏版) ほか
後に「南海音楽文庫」と呼ばれることになる「南葵音楽図書館100年」を記念するコンサートです。
文庫の所蔵作品や頼貞著『薈庭楽話(わいていがくわ)』に登場する作品が演奏されます。
サン=サーンス「ミューズと詩人」は、自筆の書き込みがある初演楽譜を同文庫が所蔵しています
【問い合わせ】
☎073(436)9530 和歌山県立図書館文化情報センター
県立図書館で南葵音楽文庫について
知る! 学ぶ!
和歌山県立図書館では、日々、調査研究が進められる「南葵音楽文庫」の今を伝えるアカデミーや文庫が伝える音楽を学ぶ音楽塾が開催されています。
2026年2月に行われる催しを紹介します。
南葵徳川音楽塾
「モーリス・ドラージュと東洋」
インドや日本を題材とした声楽作品を残すフランスの作曲家モーリス・ドラージュ。その時代背景や人的交流、作品について、南葵音楽文庫が所蔵する同時代のフランス音楽にも触れながら解説します。
【日時】2月21日(土)11:00~12:00
参加無料
【会場】1階南葵音楽文庫閲覧室 ※オンライン聴講あり
【定員】当日先着15人程度
(オンラインは事前申込制)
【講師】柚木たまみ(滋賀短期大学教授)
司会進行:近藤秀樹
オンライン聴講申し込みは、和歌山県立図書館のホームページから。
南葵音楽文庫アカデミー春
徹底討論:南葵音楽文庫
南葵音楽文庫が和歌山県に寄託されて間もなく10年になります。文庫についての研究は進み、理解は急拡大しました。研究員それぞれがもつ問題意識を提起し、討論を深めます。
【日時】2月22日(日)13:30~15:30
参加無料
【会場】2階 講義・研修室
【定員】先着60人(事前申込制)
【パネリスト】美山良夫(慶應義塾大学名誉教授)、佐々木勉(元名古屋音楽大学教授)、近藤秀樹(大阪教育大学講師)
司会:淑姫(旧日本近代音楽館主任司書)
【申し込み方法】和歌山県立図書館のホームページで確認
※同日11:00~12:00には南葵音楽文庫閲覧室で重要資料報告会もあり(こちらは申し込み不要、当日先着15人程度)
音楽塾・アカデミーのどちらも
【問い合わせ】☎073(436)9520 和歌山県立図書館サービス課





















株式会社 和歌山リビング新聞社 編集部