和歌山県和歌山市出身のセーリング選手・赤松佑香さん。2024年1月にアメリカ・マイアミで開催された世界大会「スナイプ級ジュニア世界選手権」に日本代表で出場するなど活躍中です。オリンピック出場に向けて邁進する彼女にインタビュー。
目次
セーリング競技は小学3年生からスタート
父と姉もヨット乗り。きっかけは「姉への憧れ」
―セーリングを始めたのは
先にセーリング競技を始めていた、姉への憧れで、小学校3年生から始めました。父がローカルヨットクラブ「和歌山オーシャンヨットクラブ(WOYC)」に所属していたこともあって、小さな頃から海やヨットは身近な存在。実はヨット乗り一家なんです。
―セーリングの魅力って?
セーリング競技の勝敗ルールは、いたってシンプル。海上にある決められたコースを回り、フィニッシュした順位で成績が決まります。この分かりやすい勝敗ルールに、負けず嫌いな私はドはまり。勝つことに夢中でしたね。
ー他のスポーツをしたいと思ったことはないですか
全然なくて、セーリング一筋です。競技歴が長くなるにつれて、競技の複雑さにも触れるようになって…。そこが飽きない理由の1つかもしれません。
ー競技の複雑さって?
セーリングの競技用ヨットはエンジンがなくて、帆(セール)と舵(ティラー)を操って海上を進みます。動力である風・波・潮は、天候や地形で激変するので、臨機応変な対応と、試合ごとの事前調査が必須なんです。
ー自然環境に左右されやすいスポーツなんですね
それに、同じ艇種(ていしゅ=ヨットの種類のこと)でもメーカーブランドが違うだけで操作方法がガラッと変わるので‥、技術はもちろんですが、経験が物を言うスポーツだと思います。その分、思い通りのレースができた時は最っ高に気持ちいいです!
ー最初は一人乗りヨットから競技を始めたんですね
「OP級」という、1人乗りヨットから競技を始めましたが、指導者の勧めで高校2年生から2人乗り「420級」にも挑戦。2人乗りは、舵を切る「スキッパー」とそれをサポートする「クルー」でヨットを動かすので、ペア選手との相互理解がとても大切。まだまだ課題はありますね。
ー2人乗りに専念するようになったのはいつから?
2020年に開催された「ジュニアオリンピック」に2人乗りで出場し、優勝できたんです。大変なことも多いけれど、喜びも大きくて…やりがいを感じるようになりました。以降は2人乗りに専念し、現在はスナイプ級でスキッパーをしています。
和歌山は、原点に帰れる“ホーム”
初めてヨットに乗った「和歌山セーリングセンター」は特別な場所
ー活動拠点は
現在は大学チームの練習場所、兵庫県西宮市を拠点に練習しています。1番ヨットが操作しやすい場所は、「和歌山セーリングセンター」(和歌山市毛見)。初めてヨットに乗った場所で、私にとってホーム的な存在です。
ー和歌山の海の魅力は
とにかく、景色が美しい!海水もきれいです。ヨットに乗っていて「自然を感じる」ことは、醍醐味の1つだと思いますが、和歌山は特に美しい自然を感じることができます。
プライベートの過ごし方
ーがんばった自分へのご褒美は何ですか
少し遠くへドライブへ行きます。街の雰囲気と「焼きもち」が大好きな、高野山へ定期的に行きたくなります。
ー休みの日の過ごし方は
愛犬・リリーと遊びます。ストレス解消法は、リリーとハグして眠ること。癒やし効果絶大です。
始めて掴んだ世界の舞台は、やむを得ず欠場
ー高校2年生の時「ジュニア世界選手権」の出場権を得たんですね
2020年の高校2年生の時、イタリアで開催された「世界選手権」の出場権を得ました。ですが、コロナ渦のため、やむを得ず欠場したんです…。あこがれ続けていた世界の舞台に出場できず、本当に悔しい思いをしました。
ーでは、2024年の「世界選手権」出場は夢が叶った瞬間?
大学進学後も世界を目指して練習をしてきたので、出場が決まったときは達成感がありました。でも、その後は「優勝する」マインドに切り替わり、“世界のスナイプ乗り”と戦うことに燃えていました。
2024年、世界の舞台に初出場
「世界選手権」を振り返って
2024年1月2~7日にアメリカ・マイアミで開催された「スナイプ級ジュニア世界選手権」に日本代表として出場。赤松さんは、同志社大学の江見選手とのペアで総合20位、女子2位の成績を収めました。
ー大会を振り返っていかがですか
優勝を目指してたので、悔しいの一言です。女子2位とはいえ、女子1位との実力差は大きくて…、世界の厳しさを感じました。
ー課題は
フィジカル強化や、ヨットへの知識など…課題は山積みです。初めての土地(海)、初めて扱うブランドのヨット、海外選手との体格差など…、不利な状況下で、良い結果を残すためには何が必要か。新たな視点を得ることができました。
ー収穫はありましたか
課題を得たことも収穫。ですが、改めて「ヨットって楽しいな」と、心から思えたことが一番の収穫です。また、江見選手とは今大会のために初めてペアを組みましたが、とても息が合って。少ない練習量でペア力を磨く工夫や、コミュニケーションの取り方など…成長できた側面もあります。
今後の目標はオリンピック出場
ー世界を知って、次の目標は
五輪に出場して、世界一のセーラーになることです。まずは、今所属している関西大学のヨット部チームで、「全日本学生ヨット選手権大会」優勝を目標に、練習に励みたいと思います。応援よろしくお願いします!
【プロフィール】あかまつ ゆうか/2003年9月12日生まれ、和歌山市出身。父も姉も“ヨット乗り”。2020年8月、和歌山工業高校2年生で「JOCジュニアオリンピックカップ420級」を優勝。2024年1月「スナイプ級ジュニア世界選手権」に出場し、総合20位、女子2位。関西大学2年生。▷インスタ@yuka.uusail
和歌山出身、編集歴3年のひよっこライター。スイーツをこよなく愛し、気になる新店はくまなくチェック。あま~い食べ物とそのお供・コーヒーやお茶の紹介はお任せあれ!現代アートやコスメ、ファッションも大好き。